算命学とは

算命学は約4000年前の中国大陸に於いて成立した自然科学・万象学をベースにした人間学です。
端的な表現ではありますが、非常に難しくもあります。それは、一体どういうものなのでしょう?

算命学とは、との説明につきましては、いろいろな書かれ方をしていますが、ここでは違った見方でお話をしてみましょう。
この内容は、高尾先生の先師である第十二代宗家「呉仁和先生」が実際に教えられた内容でもあります。

今から四千年前の東洋人のご先祖様たちは、自然を神として崇めました。そして、自然界には、山・川・林等いろんなものがありますが、その一つ一つの存在物には、神様が存在している。
その神様が人に何かを教える時、その自然を媒体として何かを知らせている。と考えられていました。

その自然の営みは、人の生活の基盤を作り、自然と慣れ親しむことで生活を維持してきました。しかし、時として自然は、人々に厄災をもたらします。
土砂崩れを起こしたり、川を氾濫させたり、また、干ばつが続いたりして、人々を大いに恐れさせたりもしました。
当時の人々は、これらの現象が全て神の怒りの意志であると考えたのです。

その自然(神)の怒りに触れずに、どのようにすれば、より良い生活の糧を得ることが出来るのだろうかと考えるようになりました。
それは、自然界の法則(神)を知ることで、それに従うことは、安全で安心な生活を送れることであり、従わないことは、人間生活の破滅につながることを知ったからなのです。

東洋人のご先祖様たちは、数百代、そして、何十代にも渡って、宇宙や地球の自然を知ろうとし、また、自然に触れあうことによって、人間はどのようにして生まれ、如何に生きるべきかを知るために、諸々の研究が行われてきたのです。

今から4000年ほど前に、殷王朝が栄えていましたが、この人たちの考え方、自然観が元になって算命学が生まれました。
(当時は算命学とは、呼ばれていませんでした。)
その大きな歴史の流れの中で、様々な論説が生まれては、考えを改めたり、修正を加えたりして、さらには新しい考えを取り入れたりして、算命学は膨大なる知識の集積へと繋がっていったのです。

人が生まれてきて、幸せに生きていくためには何をどのようらすれば良いのか知るためには、まず自然を知ることから始まり、ひいては、地球のこと、さらには宇宙のことを知ることから始めなくてはならない。
なぜなら、人間はこの星に生まれ来たのだから、人間というものは、宇宙や地球の自然と同じ構造をしているに違いない。そのため、宇宙や地球の自然界の法則を知ることが、人間そのものの人生の構造・気の流れを知ること、すなわち、人間の運命を知ることに繋がるのだ。という考え方から、様々な研究や確認が行われてきたのです。

それらの知恵の集積が、あるところから算命学と呼ばれるようになり、現在に至るまで、一部の人たちによって伝えられ、支え続けられて来たのです。

算命学は自然の姿から人間の運命を知ろうとするのですから、自然をしっかりと、よく見ないといけません。

自然を知ることの原点となるものが、六十干支になります。
六十干支は、1番の甲子から始まり、乙丑、丙寅、丁卯と続き、60番は癸亥で終わります。
甲・乙・丙・丁の部分が天干とよび、子・丑・寅・卯が地支とよびます。
また、地支の下には(子・丑・寅・卯の下には)、蔵干とよばれる符号が存在します。
子の下には、癸
丑の下には、癸辛己
寅の下には、戊丙甲
卯の下には、乙
といった具合です。

それでは、干支とはどういう構造をしているのでしょう?

干支は殷の時代の「時間の符合」になります。
それでは時間とは・・・?

現在の時間は、数字のみで表されている西洋の暦が使用されていますので、皆さんの認識は西洋人の時間感性になります。
しかし、大昔の東洋人は違う感性を持っていました。

「時間は無形である。」
考えは、ここから出発致します。
たとえば、列車に乗ったとします。そうすると、景色は反対方向に動きます。
すなわち、時間は景色と同じ方向に過ぎ去っているということです。

もう一つの例として、自分は時間だと致します。
自分がトットットットッと走っていくと、逆の方向に時間が流れ去っているのです。

この理論を元にして、時計の文字盤は、天の動きを表しているのです。
それは、地球が東へ進むことから、天は西に進むように見えます。
その間に時間が生まれるのです。

時間の概念図

人間が時間を判別できるのは、宇宙が動くからなのです。
空間が静止していたら、時間を知る術がないのです。

別の言い方をしますと、皆さんは、時間をどのようにして判別しているのでしょうか?
それは、太陽が東から昇ってきたときに朝を感じ、太陽が南天に昇ってきたときに昼を感じ、太陽が西に沈む時に夕方を感じます。
そして、太陽が自分のいる大地から反対に行ったときに、夜を感じるのです。

すなわち、干支とは、天干が太陽の動きであり、太陽の気のエネルギーを表し、蔵干は地球の動きであり、地球の気のエネルギーを表し、その間にある十二支が時間の符号になるのです。

例  甲子癸
  「甲」が天(太陽)のエネルギー、「癸」が大地(地球)のエネルギー、「子」は天と地の接点で発生している「時間の符号」を意味しているのです。

干支というものは、自然界の環境そのものを表しています。
そして、時間は天と地の接点から発生している無形の存在物なのです。
これが、東洋人の時間の感性になるのです。

人がある年月日で生を授けられるということは、その時に与えられた自然の環境を表しているのです。
その自然に与えられた環境(天と地の気の状態=宿命)を、しっかりと読み取ることで、そして、その後に回ってくる自然環境(後天運)と照らし合わせてみることで、
人間そのものの行く末を読み取っていくのが、算命学なのです。

宇宙・自然を知ること、それは、人間そのものを知ることに繋がっていくのです。